 研究テーマ |
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【1】（2）SF6絶縁開閉器（GIS）における部分放電による絶縁異常診断
(2.1)電磁波を用いたGISの内部診断に関する研究
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 研究内容
近年，電力需要は高度情報化社会の進展や生活環境，社会機能の電力依存度の増大により拡大の一途をたどり続けており，それに対応して電力系統の拡大も進められている。また同時に，品質の良い電力の安定供給がますます強く求められている。一方，我が国における電力需要は都市部に集中し，電源である大規模発電所は狭隘な国土事情から遠隔地に偏在する傾向にある。電力の消費地である都市と電力の供給地である発電所を結ぶ電力系統，その中でも変電所が重要な役割を果たしている。変電所には変圧器，遮断器や断路器等といった電力機器があり，それら電力機器に対し，大容量化，高電圧化が進むとともに，小型化，高信頼性や対環境性が必要とされてくる。これら様々な条件に対し優れた適合性を有しているものがガス絶縁開閉装置(Gas
Insulated Switchgear :
GIS)である。ガス絶縁媒体には，消弧特性，絶縁性能に優れ，また，人体にも無害であるSF6ガスが使用されている。しかし，GIS内部に欠陥・異物が存在すると部分放電(Partial
Discharge :
PD)が発生し，絶縁耐力の低下をまねく。このPDは最終的に絶縁破壊に至る可能性があり，電力の安定供給に支障をきたす恐れがある。このような状況の中で安定した電力供給を確保していくためには，通常の機器運転状態の保守監視に基づく予防保全技術に併せて，絶縁異常の有無，劣化状態の判断や寿命予知診断など，事故を未然に防止するための予測保全の観点から機器診断技術が重要となってくる。したがって，部分放電測定が絶縁監視・診断技術に対し重要な役割を果たす。
PDの発生に伴い高周波電圧・電流，電磁波，音(振動・弾性波)，光，分解ガスなどが発生するため，部分放電測定には，これらを検出する電気的，音響的，光学的，化学的方法などがある。特に，電磁波測定によるPD検出技術は，他の検出技術と比較して，・PDの検出感度が高い，・検出範囲が広く，一つのセンサで広範囲を診断できるためセンサの数が少なくて済み経済的であるなどの特徴がある。そこで近年では，GIS内部を伝搬するPD放射電磁波を内部に設置したUHFセンサを用いて検出することにより，GIS絶縁診断に結びつける研究が精力的に行われている。絶縁診断に関する研究は，以下の3つに大別される。
(1)検出方法，ノイズ除去などの部分放電の検出技術
(2)部分放電・電磁波伝搬特性，電磁波測定によるPD源(欠陥・異物の種類)の同定および位置標定
(3)部分放電特性による劣化・異常程度の判定，破壊予知・余寿命予測
(1)の部分放電検出技術については，各電力機器に対しては実用化あるいは実用化に近いレベルまで到達している。誤診断を防ぐためにも(1)に関する技術は重要であり，センサ技術およびノイズ除去技術が研究されている。(2)の欠陥・異物の同定および位置標定に関しては，PDの周波数特性において利得の高い周波数帯における位相特性(Point
on Wave :
POW)やf-q-nパタンなどを用いた異物種類の同定が検討されている。(3)の劣化・異常程度の判定，破壊予知・余寿命予測に関しては，PDの発光像による放電形態の識別や，種々の信号処理技術などにより検討されているが，研究が始まった段階である。以上の背景を踏まえ，本研究では部分放電により発生した電磁波に着目し，異物の同定および異常程度の判定を目的として研究している。
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 研究業績リスト
| ＜国際会議＞
 （1） |
S.Ohtsuka, K.Takenaka and
M.Hikita：“Frequency Spectrum Characteristics of PD Electromagnetic
Waves in GIS”，Proc. of Japan-Korea Joint Symp. on ED&HEV,
pp.269-272, Kitakyushu, Japan (1999) |
（2） |
Kenji Takenaka，Masahiro
Kozako，Sinya Ohtsuka，Koji Sawai and Masayuki Hikita "Risk Assessment
of GIS based on Amplitude Ratio of PD-induced Electromagnetic Wave
measured by UHF method ", Second International Workshop on High
Voltage Engineering, Tottori, Japan, Nov. 2000, No.ED-00-139,
pp.111-116 ，2000 | ＜口頭発表＞
（1） |
竹中 賢司，堀内 智哉，大塚 信也，田 志海，鈴木 浩文，匹田 政幸：「モデルGIS内金属異物付着位置が部分放電特性に及ぼす影響」，平成11年電気学会電力・エネルギー部門大会，No.393，pp.253-256，福岡
(1999) |
（2） |
竹中 賢司，小迫 雅裕，大塚 信也，鈴木 浩文，匹田 政幸，：「UHFセンサを用いたPD放射電磁波測定によるストリーマ放電とリーダ放電の識別」，平成11年度電気関係学会九州支部連合大会，No.612，p.268，福岡
(1999) |
（3） |
竹中 賢司，柴田 慎吾，小迫 雅裕，大塚 信也，鈴木 浩文，匹田 政幸，「UHFセンサによる部分放電放射電磁波の振幅比を用いた放電形態の識別」，平成12年電気学会全国大会，Vol.
6，No.214，東京 (2000) |
（4） |
竹中 賢司，小迫 雅裕，大塚 信也，澤井 浩司，匹田 政幸，「GIS内部の部分放電放射電磁波の伝搬特性解析に基づくPoint
on waveの中中周波数数選定に対する一考察」，平成12年度電気関係学会九州支部連合大会，No.603，福岡
(2000) |
（5） |
竹中 賢司，國武 義高，小迫 雅裕，大塚 信也，澤井 浩司，匹田 政幸，「GISの異常診断を目的とした内部センサによる部分放電放射電磁波伝搬特性の検討」，平成13年電気学会全国大会，No.205，p.2573，名古屋（2001） |
（6） |
國武義高，小迫雅裕，大塚信也，匹田政幸，「GIS内における部分放電模擬パルス波形と放射電磁波第1波の振幅比の関係」，平成13年電気学会電力・エネルギー部門大会，No.395，pp.314-315
，宮城(2001) |
（7） |
國武義高，小迫雅裕，大塚信也，匹田政幸，「GIS内におけるPD放射電磁波の伝搬特性を考慮した絶縁診断技術の開発」，平成13年放電学会若手セミナー，Vol.
45 別冊，pp.72-73，福岡 (2002) |
（8） |
國武義高，尾野本道雄，小迫雅裕，大塚信也，匹田政幸，「FD-TD法によるGIS内における模擬部分放電放射電磁波伝搬特性の解析」，電気関係学会九州支部第54回連合大会，No.303，p.101
佐賀(2001) |
（9） |
國武義高，小迫雅裕，大塚信也，湯浅禎之，岡部成光，匹田政幸，「FD-TD法によるGIS内のT字分岐における電磁波伝搬特性の検討」，平成14年電気学会全国大会，No.6-146，Vol.
6，pp.243 東京(2002) |
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